Coridalis incisa
林の縁なんかに生えるありふれた植物ですが、ちょっと変わった生活環を持っています。6月にばらまかれた種子は、翌年早春に芽を出しますが、その年は花をつけずに、地下に根茎を残して6月頃には枯れてしまいます。その年の秋に再び芽を出して小さな株で越冬し、翌年春に花を咲かせ、6月ころに種子をつけます。
この草の地上部が目にとまるのは、3月頃から6月頃だけです。このような植物を春植物、またの名を「スプリング・エフェメラル」(春の儚いもの)と呼びます。そこらへんで見られるのはこのムラサキケマンが代表ですが、有名なところではカタクリなんかも典型的なスプリング・エフェメラルです。これらは、落葉広葉樹林の林床での生活に適応した植物と言われます。つまり、落葉広葉樹が葉を広げ影を作ってしまう6月には地上部の展開は終わり、休眠に入るのです。
また、これらを幼虫時代に食草とする蝶などもスプリング・エフェメラルと呼ばれます。日本では珍しい北方系の蝶のウスバシロチョウの幼虫はムラサキケマンを食草としており、成虫は5月頃だけ姿を現します。この蝶の幼虫は、地上部が展開する期間が非常に短いムラサキケマンを食べるため、なかなか発見されずに、その生活環は長いこと謎のままだったそうです。
写真は2012年4月21日に横浜市栄区で撮りました。
花も葉も優しい感じですが毒草です…
少し変わった花ですね
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