2015年2月7日土曜日

2月1日 冬の樹形2

 冬には落葉樹の樹形がはっきりと判るというお話は、以前にもしましたね。剪定されない場所にある、独立樹?では特に判りやすいものです。

 先日アップした剪定瘤があるような樹とは違い、のびのびと生育した独立樹の樹形は美しいものです。

 植物には「頂芽優勢」という性質があります。これは、茎の先端の芽の生育が、他の芽(脇芽)の生育よりも早いというもので、特に針葉樹の様な主幹がはっきりしている樹種では強く現れるような気がします。
 メタセコイヤの様な不定芽(幹のどこからでも生じる芽)を強く生じる樹種では、幹を切ると、先端近くの脇芽のどれかが長く伸びて、次の主幹になろうとします。このメカニズムには植物ホルモンの働きが大きくかかわっていると言われています。


メタセコイヤ



ヤナギの一種



2015年2月5日木曜日

2月1日 オオイヌノフグリ

早春に咲く、道端の野草の中でもひときわ早く開花するのがこの花です。

オオイヌノフグリ
Veronica persica
オオバコ科クワガタソウ属の越年草原産:ヨーロッパ
別名:星の瞳、瑠璃唐草、天人唐草、クワガタソウ など





 ママコノシリヌグイ、ヘクソカズラと並んで、気の毒な植物名三傑。こんなに可憐なのに「大きな犬のキ〇タマ」とは…。
 これは、日本原産のイヌノフグリの実が「犬のキ〇タマ」に似ていて、当種はイヌノフグリより全体が大型なのでつけられた名前。当種の実は「犬のキ〇タマ」には似ていないそうです。ああ、連呼してしまった(笑)
 しかし、「星の瞳」というのも如何なものでしょうか?当種は春の陽射しの中で咲く、一日花なのですから…

 夏を休眠して過ごす種子から、秋に発芽し、厳しい冬の中でじわじわと成長して、年が明けると南側の陽だまりの道端などで真っ先に花を咲かせるオオイヌノフグリ。
 どこにでもある雑草ですが、私にとって、「春の空の落し物」の様なこの花は、春の訪れを真っ先に告げてくれる大切な友達です。



2015年2月4日水曜日

2月1日 石組みの小盆栽

 日本にはごく普通の石組み。これは意外と高い技術で作られていて、他の国では見ることが少なかったりするようです。
 丈夫なので長年にわたり使われることが多いため、石と石の間には植物が芽生え、生育することも多く見られます。

 このような場所では、植物たちはほとんどが、種子から発芽して定着した実生(みしょう)です。環境としては最悪だと思うのですが、種子から育つと、その場所に適合して、それなりの育ち方をするので、案外頑張っていることも多いようです。

 2月1日は非常に寒い日でしたが、凍りついた石組みの間で育つ様々な植物たちが小盆栽のようでした。


オランダミミナグサとコケ



タンポポ、コケ、イネ科の…?



コケ、イネ科のなにか



コオニタビラコ?



コオニタビラコ?



小さな氷壁



氷とツツジの枯葉

2015年1月30日金曜日

1月24日 ミツバ

和食の名脇役ミツバ(三つ葉)

ミツバ
Cryptotaenia canadensis subsp. japonica
セリ科ミツバ属の多年草
原産地:日本を含む東アジア  山地の日陰に自生

 日本が原産地の数少ない「野菜」のひとつです。ちなみに野菜の「原産地」には、本当の原種が自生している「一次原産地」と、その野菜が品種として確立した「二次原産地」という考え方もあるようですが、ミツバの場合は日本が一次原産地のひとつというわけです。他の例で言うと、コマツナの一次原産地は「地中海沿岸地方」で、二次原産地は江戸時代に東京で品種として成立したと言われるので「日本」となるわけです。

 さて、ミツバに話を戻しましょう。
 流通形態は三種類。スポンジなどに種をまいて水耕栽培される「糸三つ葉」、土に種まきをして根ごと出荷される「根三つ葉」、土に種まきして軟白栽培し、刈り取って出荷される「切三つ葉」。今は多くが「糸三つ葉」として出荷されていますね。
 なんか、栄養無さそうな感じですが、意外とβ-カロテンなどの含有量が多い、健康野菜です。また、多年草なので、使った後にスポンジに残った根っこを土に植えておくと、うまくすると定着して、毎年「切三つ葉」が楽しめます(笑)
 写真は私が住んでいる団地の北側に知らないうちに自生?していたミツバ。
 極端に日陰に強いので、北側のベランダなどで育てるのには最適なハーブです!








2015年1月28日水曜日

1月24日 剪定瘤のこと

 樹種にもよるのですが、樹木の枝を毎年同じ位置まで切り戻していると、その部分が硬く瘤状に膨らむことがあります。これを「剪定瘤」(せんていこぶ)と呼びます。
 一番典型的で良く見かけるのは、サルスベリの剪定瘤。サルスベリは当年春から伸びた「当年枝」に花芽を形成し、剪定にも強いため、毎年同じ場所で秋に剪定されることが多く、必然的に剪定瘤が出来るわけです。ほかにも、ケヤキやアメリカスズカケノキ(プラタナス)、イチョウなどでも見ることができます。
 剪定された部分の腐朽を防ぐために堅い防御層を形成し、それが膨らんで剪定瘤になると言われています。
 剪定瘤を作らないように剪定することはそれなりの技術を要するため、ついつい同じ場所で切り戻して剪定瘤ができてしまうのですが、なんとなく痛々しくて好きじゃあないなぁ…。


ケヤキ



ケヤキ



サルスベリ



サルスベリ(自然樹形)

2015年1月25日日曜日

1月24日 低温障害のこと

 1月24日に散歩していると、キダチアロエの花を見かけました。近づいてみると、葉が低温障害(凍害?)を起しています。
 キダチアロエはアロエの仲間としては低温耐性が強く、横浜市栄区ではあまり低温障害を起こさないという認識だったのですが…。ご近所様からも「今年は、花月(金のなる木)が、寒さでやられてがっかり…」などの話を聞いています。
 気になったので、帰ってから横浜の旬別日平均気温を調べてみました。1月は上中旬だけですが、例年に比べて特に気温が低いとか、変動が大きいということはありませんでした。そこで12月を調べてみると、以下の通りでした。

      上旬  中旬  下旬
2014年  8.8  6.7   6.9
2013年  10.3   7.9    6.5
2012年  8.0  7.8   5.9
2011年  8.9  8.1   5.6

 2014年12月で特徴的なのは、中旬が非常に寒く、しかも上旬との気温差が激しいこと。2013年も上中旬の気温差は激しいのですが、絶対的な気温は低くありませんね。
 植物は、気温が下がると、細胞内の糖質の濃度を高めたりして、低温に備えます。しかし、温度の低下が急すぎると、この作用が追いつかずに、低温障害を受けることがあります。もちろん、温度だけではなくて、水分や日射量、風の強さなども影響していると思うのですが、今年の植物たちの低温障害は、12月上旬から中旬にかけての急な低温が影響しているのではないかな…などと素人なりに考えてみたりしました(笑)







 下の写真は、クスノキの樹皮で集団越冬する、ヨコヅナサシガメの幼虫です。写真はピンボケですね(笑)
  サシガメは、植物の汁液を吸う一般的なカメムシとは違い、他の虫を捕えて体液を吸う捕食性のカメムシです。うっかり掴んだりすると刺されて痛い思いをすることもあるそうですから、ご用心を!







2015年1月22日木曜日

1月18日 寺社と古木・名木  御霊神社のタブノキ

御霊神社は、鎌倉の大仏で有名な長谷寺から歩いて20分位の場所にある神社です。
平安時代後期のお寺と言われ、学業成就・必勝祈願・眼病治癒などに霊験あらたかとの話。賑やかな江ノ電・長谷駅のそばですが、静かな落ち着いた良い神社です。すぐ前を江ノ電が通り過ぎる素晴らしいシチュエーションで、鉄道ファンにもたまりません(笑)。近くにある「力餅家」さんも渋いです。









境内にある、大きな樹が樹高20m、樹齢400年とも言われるタブノキです。

タブノキ
Machilus thunberugii
クスノキ科タブノキ属の常緑高木
分布:日本(東北~沖縄)
別名:イヌグス、ヤマグス、タマグスなど

ツルッとした樹皮と、ツヤツヤとした葉、広々とした樹幹など、まさに「The常緑広葉樹」の趣のある、神奈川県名木100選のひとつです。
常緑広葉樹の下はなんとなく薄暗い印象があるのですが、南向きの御霊神社の素晴らしいシチュエーションのせいか、比較的に高い位置で枝分かれする樹形のせいか、不思議と開放感のある空間を作ってくれています。
八丈島で有名な黄八丈の色のうち「鳶色」はこの木の樹皮で染められるとのこと。
また、横浜にもゆかりの深い樹種で、横浜開港資料館の中庭にあり、ペリー来航時の記録画にも描かれている「玉楠」はタブノキです。こいつは今でもとても元気です。
さらに横浜開港記念Y150のキャラクターだった、「たねまる」も、タブノキの精という設定だったそうです(笑)