2011年9月4日日曜日

臭い?臭くない? クサギ

Clerodendum trichotomum という学名のクマツヅラ科クサギ属の落葉小高木です。

その名の通り、葉には特有の臭いがありますが、新葉の時は山菜として利用できるそうです。たぶん天麩羅などにすると臭いが消えるのでしょう。余談ですが、少し「あく」や臭いの強い山菜類は天麩羅が一番ですね。

さて、この臭いですが、確かに特有なのですが、どこかで嗅いだことのある臭いといつも思ってしまいます。何だろうなぁ…と思いよく考えてみると…。早朝の豆腐屋さんの香り(おからの香り)に少し似ているのではないかと思いつきました。豆腐屋さんは良い匂いですが、何か同じものを感じさせる匂いなんです。

また、花は甘い良い香りです。写真は8月30日に撮ったものですが、この時も良い香りでした。ついでに、葉をむしって臭いを嗅いでみたら…。あら不思議、ほとんど臭いがしません。開花にエネルギー使っているせいでしょうか?

秋遅くになると、実も美しく熟します。こちらは熟したらまた、写真載せますね。

クサギはパイオニア植物と言って、何らかの原因で荒れ地になった場所に最初に侵入する樹木の一つです。今回の写真も林の中ではなくで道端で撮りました。前回のクズのすぐ近くです。植物は身近にあるものもそれぞれ好きな環境を選んでいることが良くわかる道端です(笑)。

2011年8月30日 横浜市栄区

2011年8月30日 横浜市栄区

2011年9月1日木曜日

敵か味方か? クズ

この時期になると、道に落ちている花や、どこからともなく漂ってくる良い香りでクズの花が咲き始めたのに気づきます。

学名はPueraria lobata(Willd.)Ohwi(1947) マメ科クズ属の多年生植物です。

こいつは、林のヘリなどで木などにまきついて、「マント群落」を形成します。きわめて強健で生育旺盛。電柱を支えるワイヤーにも平気でよじ登り、ショートの原因になったりします。かって、アメリカにも緑化用として導入されたのですが、野生化して特に東海岸南部では帰化植物として大問題になっています。世界の侵略的外来生物ワースト100にも選ばれ、アメリカでの呼び名も「Kudzu」と日本語そのままです。

しかし、その一方で葛粉はもともとこいつの根茎からとったものですし、漢方薬の葛根湯もクズの根茎から作られています。

私は、クズの花の香りが大好きで決して嫌いな植物ではありません。それに、幼少のみぎり(笑)は、これの葉っぱを手に乗せて、たたいて破裂させ、「ポン」という音を出して遊んだものです。

こいつが世の中からなくなったら寂しいなぁ。


2011年8月30日 横浜市栄区 マント群落の様子です

2011年8月30日 横浜市栄区 花序は下から咲きます

2011年8月30日 横浜市栄区 良い匂いです

2011年8月30日 横浜市栄区 道に落ちた花で気づくこともあります

2011年8月28日日曜日

アゲハとサンショウ

最近は花は少ないし、天気は悪いしでさぼり気味の当ブログ…
今回も花らしいものはご近所では少なくて、団地の片隅のサンショウを話題にしてお茶を濁します(笑)。

さて、サンショウはミカン科サンショウ属で、意外にもミカンに近い仲間です。学名は、Zanlhoxylum piperitum DC.

スーパーの野菜売り場で「木の芽」として売られているのは、こいつの新芽です。春に、タケノコの煮物に、サンショウの新芽を添えて一杯やるのはたまりません。

ところが、こいつの葉が好きなのはどうも人間だけではないみたい。写真は、団地のサンショウについたアゲハの幼虫です。サンショウにはアゲハとクロアゲハの幼虫が良くつきます。幼虫の時は良く似ていますが、体の中央部に走る黒い線が、クロアゲハの方が幅広なので見分けがつきます。

植物と同じくらい昆虫も好きなので、いつもほおっておくのですが、結構丸坊主にしてくれます。でも、サンショウの方も大したもので、丸坊主になると二次的に新芽が出てきたりします。これを私は豆腐にのせてつまみにしたりするので、まあ、アゲハとも持ちつ持たれつですね(笑)。

2011年8月28日 横浜市栄区

2011年8月28日 横浜市栄区

2011年8月21日日曜日

タカサゴユリ 続報

さて、前回タカサゴユリやシンテッポウユリのことについて書きましたが、続報でございます。
実は、前回アップした写真が、花弁が露出オーバーで白とびしており、気に入らなかったので、家のそばをうろうろして、いくつかの個体のアップを撮ってきたのです。

その過程で確認できたのですが、花弁外側が純白なタイプと、褐色の筋が入るタイプがあります。前者はテッポウユリの、後者はタカサゴユリの特徴のようです。そうすると、やはり何らかの原因でエスケープ(人に作られていた動植物が逃げ出すこと)した、シンテッポウユリ(タカサゴユリとテッポウユリの交配種)が種子をつけて広がった可能性が高いと思います。以下が証拠写真。

2011年8月21日 横浜市栄区 花弁の外側が褐色になるタイプ

2011年8月21日 横浜市栄区 花弁の外側が純白のタイプ

2011年8月21日 横浜市栄区 純白のタイプの咲き始めは緑がかります

2011年8月21日 横浜市栄区 しかし、なかなか綺麗な花です

タカサゴユリそれとも…

10年ほど前から、家の周りの空き地に白い花をつけるユリの仲間がやたらと増えました。調べてみるとこれはどうやら、台湾原産のタカサゴユリ(Lilium formosanum Wallace)と日本原産のテッポウユリ(Lilium longiflorum Thunb.)が交雑したシンテッポウユリ(Lilium × formolongi : hort)らしい。ところが、タカサゴユリとシンテッポウユリの区別には諸説紛々あり、これがタカサゴユリであるという可能性も捨てきれないのです。

シンテッポウユリは実をたくさんつけ、しかも発芽から一年で花を咲かせるとのこと。ユリの仲間なのでもちろん球根もできるわけで、道理でやたらと増えるわけです。家の周りのものは、その増え方からみると、シンテッポウユリではないかと推測しているわけでございます。

それともう一つ、いくつかの説の中に「シンテッポウユリは墓地に供えられた花が結実・散逸して野生化したとも言われる」というくだりがあります。実は私の家のそばには大規模霊園がいくつかあり、鎌倉も近く、お墓がたくさんあるのです。やはり、お墓から逃げ出してきたものかもしれません。

こんな風に妄想を広げるのも、植物を眺める楽しみの一つですね!

2011年8月20日 横浜市栄区

2011年8月20日 横浜市栄区


2011年8月15日月曜日

暑さに負けず  ノアサガオ

ノアサガオ(リュキュウアサガオ)は沖縄に自生する、多年生の朝顔です。関東でも野生化していて、三浦半島などでは多くみられます。学名は Ipomoea indica で日本朝顔や、西洋朝顔とは別の種です。

さて、本日8月15日は会社が夏休みなので、趣味のサイクリングで三浦半島一周をしてきました。暑いったらありゃしないのですが、そんな中でもノアサガオは元気いっぱいに咲いていましたよ。今回は、ブログを私物化して、私の愛車と一緒に紹介します(笑)。

2011年8月15日 三崎口付近にて

2011年8月15日 三崎口付近にて

2011年8月15日 三崎口付近にて

2011年8月15日 三崎口付近にて

2011年8月15日 三崎口付近にて

2011年8月13日土曜日

修善寺のアカマツ

アカマツは日本の景色に欠かせない木です。学名はPinus densiflora Sieb. & Zucc.

海辺に多いのがクロマツ、内陸部に多いのがアカマツです。みなさま大好きなマツタケは、アカマツの根と共生しているのでアカマツの林が無いとできないのです。

アカマツはごく一般的な植物ですが色々と特徴があります。
まずは、幹のあちこちから枝が出ないこと。育ちながら枝を増やしていくわけですが、一回出た枝の下の幹からは決して枝が出ません。このような枝を「定芽」と呼びます。反対に、イチョウやクスノキのように、幹のどこからでも条件次第で枝を出すものもあり、このような枝を「不定芽」と呼びます。
アカマツの場合は最初の3から4年で、最初の枝が出て、そのあとはほぼ一年に一回程度定芽が出るので、一つの枝分かれを先端まで辿って、枝分かれの数+4でだいたいの年齢がわかるといわれています。まあ、途中で枯れてしまう枝も多いので、そんなに簡単ではないし、樹齢400年のアカマツに枝分かれが400本あるかというとそうではないので、微妙な気もしますが(笑)。

それから、前述のマツタケとの共生関係。これはいまだ完全にその仕組みが解明されておらず、したがってマツタケの栽培もできないのです。ちなみに○谷園の「まつたけのお吸い物」の香りは、マツタケの香り成分と同一の香り成分ですので、香りだけなら、これで十分とも言えますね(笑)。私は好物です。

また、旧家の門のそばによく見られる一つの枝だけがながーく伸びたマツ。これは、植物の生理を上手に使った仕立て方法です。植物は一般にエチレンというガスを発散しています。これは、ストレスや刺激によってその量が多くなり、一定以上の濃度で生育を抑制する働きがあります。ところがストレスや刺激が少ないと濃度が少なくなり、そうなると成長を促進する働きに変わります。マツの、一つの枝だけに支えをして動かないように固定すると、揺れなどの刺激が少なくなり、エチレン濃度が低くなって、その枝だけながーく伸びるということのようです。うろ覚えですけど…(笑)。
反対に、盆栽は撫でて育てろと言いますが、この意味はもうお分かりですね。

まだまだ、マツにはいろいろと話題があるのですが、すでに疲れたので、そのうち第二回でお伝えすることにしましょう(笑)。


2011年8月11日 修善寺にて  一本だけ長く伸びた枝があります



その枝は、このように完全に固定してあります