2011年11月30日水曜日

むべなるかな   ムべ

常緑のアケビという風情で、フェンスなどに這わせて実を楽しんだりするムべ
Stauntonia hexaphylla(Thunb.)Dacne.
関東以西に自生するつる植物です。

さて、「もっともだ」という意味を表す「むべなるかな」という言葉がありますが、これはムべが関連しているという話もあります。

天智天皇が、現在の滋賀県近江八幡市を訪われた際に長寿の夫婦に出会い、「なぜそんなに元気なの」とお聴きになると、老夫婦が「ムべを食べているから」と答えムべを天皇に差し上げました。それを召し上がった天皇は「むべなるかな」(ムべのおかげなのね)とお答えになり、それから「むべなるかな」は「もっともだ」という意味で使われることになったそうです。
私は高貴な家柄ではないので、ムべを食べたことはありません(笑)。アケビが精々です…

写真は全て、2011年11月26日に横浜市栄区で撮影したものです。


フェンスに這わせて使われています



結構、実がついていますね



葉のつき方はアケビに似ていますが、常緑です



大きいやつは子供のこぶしぐらいです

2011年11月28日月曜日

紅葉・落葉シリーズ5 ジューンベリー

早春に白い花を枝一杯に咲かせ、6月には実がついてジャムなどに利用されるジューンベリー
Amelanchier canadensis(アメリカザイフリボク)
最近は、たまに見かけるようになりました。紅葉も見事で、黄色と赤が混ざったような色づき方です。
日本には近縁のザイフリボクがあり、やはり早春の真っ白な花が見事です。

さて、紅葉シリーズだというのに、その仕組みをお伝えしておりませんでした。

通常は葉の中に緑色の色素・クロロフィルと、黄色い色素のカロチノイドが含まれています。通常はクロロフィルの緑色が見えているのですが、温度が下がるとクロロフィルが分解されて、カロチノイドの黄色が見えるようになるのが、葉が黄色くなる仕組みです。

では赤くなるのは?これは、クロロフィルの緑がなくなるのは一緒ですが、葉に蓄えられた糖分が、赤色の色素であるアントシアニンに変化することで赤く見えるようになるのです。



2011年11月26日 横浜市栄区

2011年11月27日日曜日

ご近所様の園芸シリーズ1

このブログは、自宅の近所をぶらぶらしながらネタ取材(笑)をすることが多いのですが、その際に、実に見事にお庭や鉢植えを作っているのを見かけることがあります。
このシリーズでは、植物単体というより、ご近所様の園芸などを紹介してまいります。

今回は、ご近所その①です。

こちらのお宅は、お庭に様々な植物を植えています。ジューンベリーやアメリカハナミズキなどの木も面白いのですが、特に目を引いたのが二つの寄せ植え。

どちらも色調の統一がされて、スッキリと美しい仕上がりです。

2011年11月26日に横浜市栄区にて撮影。


入り口の塀にかけられたハンギング



ガーデンシクラメンとバコパの寄せ植えです。ガーデンシクラメンは花が終わっていますが、おそらく白だったと思われます。バコパとガーデンシクラメンの葉のマッチングも見事です。



お庭に置いてあった小型プランターの寄せ植え。煉瓦で下駄をはかせて透水と通気を確保していますね。ガーデンシクラメン、ダイアンサス、ビオラ、エリカの組み合わせで、白が基調色です。素晴らしくハイセンス!

2011年11月26日土曜日

紅葉・落葉シリーズ4 ドウダンツツジ

刈り込みに良く耐えるため、背の低い生垣によく利用されるドウダンツツジ(Enkianthus perulatus)

ツツジっぽくないのですがツツジの仲間です。日本原産で山にあるらしいのですが見たことが無いなぁ…

紅葉は真っ赤でかなり美しい部類だと思います。

写真は全て2011年11月21日に横浜市栄区で撮影したものです。



団地の駐車場の生垣です



今年は台風で葉が痛んでいて例年より色が悪いような気が…

2011年11月25日金曜日

パンジー続報

我が家のベランダで育てていた、パンジー「良く咲くスミレ」が開花しました。ミックスのタネを育てていたのですが、最初に開花したのは紫と黄色のコンビでした。タネまきは9月17日だったので、およそ二か月で咲いたことになります。

同じ品種でも、花色によって生育の具合が違うことがあります。ミックスのタネをタネまきして、間引きするときにはあまり同じ大きさのものばかり残すと、同じ色ばっかりということになったりするのでご用心!


こんなに小さいタネです



ジフィーセブンという固形培土を使い、9月17日にまきました



10月2日の様子



ポット上げは10月23日



開花は11月19日です



他の色も楽しみです

2011年11月23日水曜日

香りが無い? シクラメン

冬場の代表的な鉢花シクラメン(Cyclamen persicum)
トルコからイスラエルあたりが原産です。
最近では耐寒性の強い、ガーデンシクラメンと呼ばれる小輪系も多く出回り、花壇の植栽でもずいぶん見かけるようになりました。

学名はCycle(回る、巻く)からきているようで、花の茎が巻いた状態で発生するからとか、花が終わった後の茎が巻いた状態になるからとか、から命名されたようです。

和名は「豚の饅頭」(ブタノマンジュウ)。球根の形を指していったようですが、あまりにひどいですね…。

さて、「シクラメンの香り」という歌がありますが、一般的な園芸種のシクラメンには香りが無いといわれます。しかし、何故か私はシクラメンの香りがはっきりと感じられます。エビネの花のようなややキノコ臭に近い匂いですが、私は好きです。
最近では原種と交配させた「香りシクラメン」もあるようですが…

私の鼻は、どうも普通と違うようで皆さんが「いい匂い」というものが感じられなかったり、皆さんが「匂いがしない」というものが感じられたりすることがあります。特に花の匂いについてこのような経験が多いのですが、匂いに対する感受性は個人差が大きいのかしら?

また、シクラメンの赤や紫は、デジカメで撮ると色の再現が困難です。もともとデジカメは赤~紫の色調再現性が悪い気がしますが、この花を撮るとはっきり感じます。そんなわけで今回もアップはピンク色と白になりました…

写真は全て2011年11月16日に横浜市港南区で撮影しました。


いわゆる「ガーデンシクラメン」のタイプです



耐寒性があり、寄せ植えや花壇にOK



ピンクです。隣の紫はデジカメのせい?で綺麗に写りません



白は純白で良い感じですね

2011年11月21日月曜日

まさに皇帝!  皇帝ダリア

メキシコ原産の多年草ダリア
その中でも特に雄大なのが皇帝ダリア(Dahlia imperialis)です。
学名もそのままで「皇帝のダリア」ですね。ここ4~5年でずいぶん見かけるようになりました。

こいつは、草丈が軽く4メートルを超える大物で、茎挿しで増殖するのです。
霜が降りなくなった5月ころに芽だししたポット苗を地面に植えつけます。

温度が上がるとぐんぐん伸びますが、花がなかなか咲かない。8月…咲かない。9月…咲かない。10月…咲かない。11月…やっと咲きます。

要するに日照時間が相当短くならないと咲かないのですね。まさに大器晩成。しかし、晩成すぎて、花が咲きだしたと思ったら、霜でダメになってしまうことも。
しかし、晩秋の晴れ渡った空に、こいつの花はとてもよく似合いますね。

写真は全て、2011年11月17日に横浜市栄区で撮影したものです。


こんな感じに育ちます。これはまだ小さい方



青空に良く似合う薄紫。どうしても見上げるアングルに…



こんな花色です


プランター植えで小さい株だったので、花に近寄れました。八重咲きのイメージが強いダリアですが、こいつはスッキリとした一重咲きです

2011年11月19日土曜日

紅葉・落葉シリーズ3 サクラ

サクラの仲間の落葉です。(Prunus sp.)

比較的に早く紅葉・落葉するものが多いようです。不確かな記憶ですが、ソメイヨシノは葉の付け根に蜜腺があり、これが8月頃までは蜜を出していて、それを目当てにアリが来ているそうです。そのアリたちが、ソメイヨシノにたかる害虫を駆逐しているのですが、9月ごろになると蜜腺が閉じてアリが来なくなり、その結果として害虫が増えて様々な障害がおこり、早めの落葉に至る。と聞いたことがあります。不思議ですね。


2011年11月17日 横浜市栄区

2011年11月17日木曜日

色々なのがあります  パンジー

お馴染み、秋から春にかけての花壇の主役
パンジー Viola × wittrockiana

前回のトルコギキョウと同じく、実に様々な品種があります。その中で最近私が一番好きなのはこれ「絵になるスミレ」シリーズ

昔から「シャロン」というフリルのかかるヨーロッパ系のパンジーがあり、これもとても美しいのですが、いささか弱かったりする印象がありました。

「絵になるスミレ」は、言ってみれば「シャロン」をさらに豪華に、さらに花付よく、ずっと丈夫にしたといった品種でしょうか?

私はベランダでは今年は「良く咲くスミレ」をタネから育てているのですが、来年は「絵になるスミレ」の苗を買って、球根と合わせてみたいなぁ…などと今から一年先の野望に思いを巡らせております(笑)


絵になるスミレ・ミュール  この色が一番好きです



絵になるスミレ・マリーヌ(青)とソレイユ(黄) 豪華な花です

2011年11月15日火曜日

君は薔薇より美しい! トルコギキョウ

その昔、布施明さんが歌う「君は薔薇より美しい」という歌がありました。

この言葉は、まさにトルコギキョウ(Eustma grandiflorum)のためにあるような言葉です。
北アメリカ原産の一年草で、原種は一重のブルーや白らしいのですが、現在は育種が進み実にいろいろな花型と色彩があります。

現在では結婚式などお祝いの席などにも欠かせない切り花となっています。

今回は、私が特に好きな品種をいくつかのせておきますが、本当にいろいろな品種があるので、皆様もお花屋さんに行ったら注意してみてみてくださいね。

写真は全て2011年11月10日に静岡県掛川市で撮影したものです。


オーブ・カクテル  何とも言えない色です



オーブ・ピンクフラッシュ  やさしいピンクがたまりません!



同じくオーブ・ピンクフラッシュ  花びらも優しげです



アンバー・ダブルミント  エレクトリックカラーとでも言いましょうか?



カルメン・バイオレット  まるでベルベットのような花です

2011年11月13日日曜日

キャラブキに使います  ツワブキ

日本原産のキク科 ツワブキ  Farfugium japonicam

常緑で、冬も葉がツヤツヤしており、花も冬に咲き、なにか見るたびに清々しい気分になります。
伊豆なんかでは、海岸沿いの結構日当たりが良いところにも生えており、より一層清々しい感じです。

さて、フキを硬く甘じょっぱく煮た「キャラブキ」は、もともとこの植物の葉柄を利用して作られたということです。私はキャラブをお茶漬けと一緒に食べるのが大好きです!独特の香りがたまりません!

写真はすべて、2011年11月6日に横浜市栄区で撮影したものです。


ツヤツヤの葉っぱが美しい



花もなかなか美しい



雄しべの造形が面白い

2011年11月12日土曜日

私の名木 その4 神奈川区本學寺のスダジイ

これは立派な木ですよ!前回のチャノキと同じ本學寺にあります。
スダジイ Castanospsis sieboldii

自然樹形で見事に樹幹を広げる常緑樹です。この姿を見て、なにか思い出しません…?
そうです、となりのトトロに出てくるあの木です。私はあの木は、スダジイかクスノキの巨木ではないかと思っているのですが…。いかが?

スダジイのドングリはあく抜きせずに食べられる貴重などんぐりです。炒って食べると美味しいらしいのですが、残念ながら試したことはありません(泣)

実は港南区にも、この木以上のものすごいスダジイがあるのですが、それはまた別の回で!

写真は全て2011年11月5日に横浜市神奈川区の本學寺で撮影したものです。


見事な樹冠です



幹の枝分かれも見事!



トトロが居そうでしょう?



さすがに、横浜市の名木古木に指定されています

2011年11月11日金曜日

カメリア フォー ユー2  チャノキ

お茶の木です。 Camellia sinensis (L.)Kuntze
学名にある sinensis というのは「中国の」という意味で、中国南部原産説が有力です。

京急神奈川駅降りてすぐの本學寺の入り口にありました。こいつもカメリアの仲間です。よく見ると、雄しべのあたりは、ツバキやサザンカととても似ています。

ご存知の通り、こいつはお茶の原料になるのですが、ウーロン茶も紅茶も鉄観音茶も玉露もぐり茶も、全てチャノキの葉から作られます。緑茶は無発酵、ウーロン茶は半発酵、紅茶は全発酵です。

実からはツバキと同じように油も採れるようです。油搾った粕にはサポニンなどが豊富に含まれていて、ミミズ除けなどに民間療法的に使われることもあるようです。

写真は全て2011年11月5日に横浜市神奈川区の本學寺で撮影したものです。


通常は刈り込まれて栽培されます



お茶っぱです(笑)



完全に開花すると花弁がそることもあるようです



雄しべの感じはツバキにそっくりですね



実もツバキにそっくりですが二回りほど小さいでしょうか?

2011年11月10日木曜日

紅葉・落葉シリーズ2 ナンテン

よく、お刺身の下に敷かれていたりします。
ナンテン Nandina domestica

これは、基本的には常緑だと思いますが、ストレスがかかったりすると紅葉するようで、なかなか美しいものです。
葉にはシアン化水素など毒物が含まれますが、微量なのでかえって食品の防腐などに役立つことから、刺身の下に敷いたり、弁当にいれたりするようです。
ただし、実の毒は結構強いようですからご用心召されよ!

写真はすべて2011年11月6日に横浜市栄区で撮影したものです。


実もついています



かなり美しい紅葉ですね



落葉の表面



落葉の裏面

2011年11月9日水曜日

私の名木 その3  禅寺丸原木見物  カキノキ

麻生区の王禅寺に甘柿の原種といわれる「禅寺丸」の原木というのを見に行ってきました。

思いのほか小さい木ですが、根元は全てつながっていてやはりなかなかの木だと感じられます。

これは1214年に王禅寺のそばで見つかったという木のひこばえが育ったものだそうです。お寺自体もおちついた良いお寺です。本殿の横には「禅寺丸」という柿を持った鬼?の像もあります。古いお寺だけあって、他の木も見事。特に写真のクスノキ2本はなかなかお目にかかれない大きさの木です。

お寺好きな方は、ぜひ一度行ってみてください。カエデがたくさんあるから、11月20日~30日頃だと紅葉が見事かもしれません。

写真は全て2011年11月5日撮影です。


意外と小さく見えます



でも、根元は全てつながっていてやはり古木と思わせます



紅葉が綺麗。まるで京都(笑)



でも、やっぱり川崎市麻生区の王禅寺なのです(笑)



樹齢450年



禅寺丸(鬼)が禅寺丸(柿)を持っています(笑)



見事なクスノキ2本。必見です